安全PLC(Safety PLC)は、国際安全規格(ISO13849 や IEC61508)に適合した安全制御システムを構築するために用いられるPLCです。
近年、PLCは、ネットワーク化、IoT化、オープン化、セキュリティ強化が求められるようになっていますが、それとともに、製造現場における作業者の「安全確保」も国際的に非常に厳しく求められています。(これを「機能安全」と言います。)
製造現場(FA工場、および、各種プラント設備)では、PLCによって様々な機械が連携しながら稼働していますが、例えば、停電によってその機械が停止した場合、停電の復旧(電源復旧)によってその機械が自動的に稼働を再開するのは非常に危険です。状況確認のために機械の近くにいる作業者が危険にさらされる可能性が考えられるからです。
そのため、停電によって停止した場合には、作業者による安全確保の処理がなされるまでは勝手に稼働しないような「安全な仕組み」が必要となります。
このように、安全を確保するための仕組みを担うPLCを安全PLC(Safety PLC)と呼び、現在、世界中のFAの現場で求められています。
安全PLCには、安全な仕組みを確保するためのいくつかの特徴があります。特に次の2つがあげられます。
安全PLC本体の中でも、安全情報を扱うRAMなどの領域と、非安全情報を処理する領域とは分離されています。これは、もし非安全情報を処理する領域で誤動作が発生しても、安全領域に影響を与えないためです。
安全PLCは作業者の安全を確保するために利用されます。本当は安全ではない状態なのに、本体の故障によりそれを検知できず、安全だと判断して機械の稼働を許可させるようではいけません。
そのため、入力部、出力部などが多重化・冗長化されている他、安全制御に関連する部品を常時自己診断し、自身に故障があった場合には停止するような仕組みが整えられています。
安全PLCには安全制御に関する特殊な構造が備わっていますが、安全PLC単体で完結されるわけではありません。FA工場、および、各種プラント設備の現場で、想定される危険に関するあらゆる事態を想定し(リスクアセスメント)、その危険を回避するための安全策を策定し(安全基本仕様)、安全PLCと一般PLCを組み合わせ、FAの機能要求を実現していくという、現場を熟知した緻密な設計がとても重要です。
例えば、加工ロボットからの危険を回避するために、加工エリアの周囲に柵を設けているとします。柵への出入り口の扉が閉まっていることを安全PLC側で確認しないと加工ロボットが稼働できないようにすることは、作業者の安全を確保する上でとても大切なことです。
ですが、扉に設置されたセンサーの誤検知により、本当は扉が開いているのに「扉が閉まっている」との情報が安全PLC側に伝わってしまっては重大な事故につながってしまいます。そのため、扉の開閉の検知を多重化させるというような安全確保に対する緻密な設計が必要となってきます。
当社には、機能安全に関わる専門的知識を有する TUV認定 FSE(認定機能安全技術者)が複数名おり、お客様の状況に合わせてた安全計装システム(SIS)の構築が可能です。
当社では、各社の安全PLCに関する豊富な実績がございます。
ご存じのように、生産機械や設備をEUへ輸出、またはEU内で製造する場合には CEマーキングの認証が必要になります。そのため、安全PLCを用いた機械や設備の設計・開発においては、CEマーキングの認証取得も念頭に置いたプロセスが必要になります。
当社では、CEマーキング認定製品の製造に数多くの実績があり、設計・製造から認証取得までをワンストップで対応することが可能です。
当社が設計・製造する製品かかわるCEマーキングは、「低電圧指令」「EMC指令」になります。
低電圧指令(Low Voltage Directive:LVD 2014/35/EU)
EMC指令(Electromagnetic Conpatibility Directive: EMCD)
ホームページでは掲載できない事例が圧倒的ですので、具体的な事例につきましては営業担当よりご案内させていただきます。
安全PLCの導入・システムインテグレーションについては、経験豊富な当社にお気軽にご相談ください。
TEL. 03-3790-3031(代表)